これが中小企業の普通?過酷な仕事内容
僕の仕事内容をざっと紹介するとこうだ。
午前中はタムとキム君の三人でミーティングをして、本日やる仕事を確認する。
キム君は営業でベトナム企業にテレアポしているので、その進捗状況や見込み客の精査もする。
その後、ユンさんに企業案内のカタログのデザインを一緒に考えたり、自社ホームページのデザインを話し合う。
それが終わったら、タイにいる社長とスカイプを通してさらにミーティング。
ミーティングの内容は主に売り上げに関してだ。
そんなに早く売り上げができたら苦労はしない……。
午後は僕も新規開拓のテレアポをはじめる。
最初はベトナム人の受付スタッフが電話に出るので、日本人担当者につないでもらう必要がある。
しかし、これは超簡単。
基本受付には飛び込み電話の処理マニュアルがないし、こちらが日本人というだけで、向こうも無碍にはしてこない。
まず間違いなく日本人担当者と電話で話すことはできるというわけだ。
とはいえ、日系企業はベトナム全国に約1500社。
ホーチミンには750社程度。
さらに、うちのウェブサイトに広告を買ってくれる製造業者は300~500社程度。
1日50社電話したとしても、10日で一回りしてしまう。
僕は念入りにスクリプトをつくり、1日20社に電話をすることにした。
そのうち、アポはだいたい5社から多くて10社程度とれる。
要は相手も暇なのだ。
けっして僕のセールストークのおかげではない。
「君まだ移住して4か月しか経っていないんだ。大変だね。じゃあ挨拶がてら一緒に飯でも食おうか」
こんなんでアポが成立するのがベトナムだ。
テレアポがひと段落したら、アポをとった企業の入念なチェックと、パワーポイントによる資料作成。
なんていったって、うちにはまだ会社案内すらないのだ。
過酷な仕事が待ち受けている
上記で説明しただけなら、日本人サラリーマンの多くは「楽勝だな」、「簡単な仕事じゃないか」と感じるだろう。
しかし、まず誰にも頼る人間がいないということを覚えておいてほしい。
タムやキム君との会話も、こちらの意思すべてが理解してもらえるわけではない。
タムに確認のため、僕が言ったことを復唱させたら、まったくずれた内容が返ってくることもしばしばある。
さらに、ウェブ広告事業だけではなく、うちは不動産と貿易事業も平行してやらなければならない。
僕はそちらの方面の知識はまったくない。
しかしやらなければならないのだ。
では、なにをどうやる?
貿易事業に的を絞れば、まず僕はベトナムの強みを探った。
タムに頼んで、ベトナムが諸外国に輸出しているものを調査してもらうと、コーヒー豆、茶葉、コショウなどが挙げられた。
僕はさらに精査して、日本への輸出実績がありながら、あまり知られていないものを考えたところ、「茶葉」に的を絞った。
茶葉は日本にも輸出しているが、ブレンド茶としての使用なので、ベトナム茶そのものが出回っているわけではない。
だから、品質のいい茶葉畑を持ち、加工工場まである大手のベトナム茶葉企業なら、日本の品質基準をクリアできるのではと考えた。
次に不動産事業だ。
こちらは主に日本から来た駐在員の住むマンションを探したり、ベトナムに進出したい日系企業に対して、オフィスや工場を斡旋紹介する。
もしうまく契約できれば、進出企業から手数料をもらえるし、不動産会社もしくは工業団地からもコミッションを受け取ることができるという仕組みだ。
僕は工業団地の斡旋に絞り、まずは日系企業が多く進出している工業団地を洗い出し、そこの管理人すべてにアポイントをとった。
日本人の管理人が常駐していれば僕が電話したし、ベトナム人のみであればタムに電話をしてもらった。
気づいたら、夜の21時を回っていた。
19時ころまではタムもがんばって働いてくれていたが、さすがに申し訳ないと感じた。
ベトナムに進出している日系企業の中でも零細中小は、うちのように日本人が一人か二人で切り盛りしているところがほとんどらしい。
現地採用者の多くは、「これで1500ドルの給料は安すぎると」音を上げて辞めていくようだ。
もしかしたら、僕は飛んで火にいるなんとやらなのかもしれない……。
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